狆の性格や特徴、飼うときの注意点
狆は日本犬では珍しい小型犬で、昔から宮廷で愛されてきた気品溢れる犬です。
その美しい被毛や愛くるしい顔、温厚な性格で現在でも多くの人々を魅了しています。
今回は、狆の特徴や歴史、飼うときの注意点やコツについて幅広くご紹介致しますので、狆を飼いたいと思っている方は是非参考にしてください。
主な特徴(性格、サイズ、体格、被毛、寿命)
狆の性格
狆は昔から愛玩犬としての改良が重ねられてきた背景から、一般的には大人しい犬種です。
飼い主や家族に対して非常に愛情深く、甘えん坊な犬が多いことも狆の人気の理由です。
そのため飼い主と長時間離れ離れになると分離不安(分離不安定症)により精神に問題が引き起こされやすいので注意が必要です。
頭脳面では犬の中では非常に賢いと言われており、人の言うことや気持ちを理解しようと頭を働かせます。
狆のサイズ
狆の体高は、個体差があるものの
平均23cm~27cm前後、成犬時の体重が平均3kg~5kg前後
で、雌の方が雄よりも体高が低いのが特徴です。
狆の体格
狆の体格は体長と体高がほぼ等しくスクエア型の犬が一般的です。
狆の被毛
狆の被毛は一般的にはロングコートで滑らかな触り心地の絹糸状の被毛です。
毛の量も比較的多く、昔は狆と言うとシングルコートが一般的でしたが最近は割合としては少ないもののダブルコートも存在します。
一般的な被毛の色は白をベースに黒が混ざりこんでいますが、その他にも白をベースに茶色やクリーム色が混ざりこんでいたり、トライカラーで白をベースに黒と茶色が混ざりこんでいたりと様々です。
狆の寿命
狆の平均寿命は12年~14年程度で、一般的な小型犬種同様です。
簡単な歴史(発祥~現在、名前の由来)
狆の歴史
狆の歴史には様々な説がありますが、未だに明確には分かっていません。
有力な説としては、大昔である西暦500年代頃に中国から日本に入ってきたと言われており、昔の日本書記には中国や朝鮮から奉られた犬であると記録されていますが、もともと日本の犬である狆を中国や朝鮮の使者が持ち帰ったのではないかともいわれています。
狆は大昔から「お犬様」と呼ばれるほど大切な犬であると言われていて、地位が高い人間(貴族や一部の武士)に大切にされてきました。
有名な歴史的人物である徳川綱吉やビクトリア女王も狆の愛犬家であったと言われており、狆は世界的に有名になって優秀な狆を交配させる改良がフランスやイギリスを中心に進められてきました。
現在日本に存在する狆は、ヨーロッパから逆輸入された優秀な狆が交配を重ね改良されたと言われています。
狆の名前の由来
狆はその容姿の小ささから、「ちいさいいぬ」と呼ばれていましたが、次第に「ちいさいぬ」から「ちいぬ」に短縮されて「ちぬ」と言う言葉がつまって「ちん」と呼ばれるようになりました。
狆を飼う時に注意したいこと
分離不安に要注意
狆は歴史的に愛玩犬として家の中で飼うために品種改良されてきた犬ですので、非常に愛情深い性格で飼い主からの愛情もたくさん必要とします。
飼い主の外泊や外出が多いと分離不安になる犬が多くいるので、時間的余裕がある飼い主さんが好ましいと言えます。
毎日ブラッシングが必要
狆の魅力の1つがその美しい被毛ですが、毛がまっすぐで細く耳部分や脚部分にある飾り毛も多い犬種ですので、被毛の健康維持のために日々のブラッシングが必要です。
毛質からブラッシングを怠ると毛玉ができやすく、被毛や皮膚トラブルを引き起こしやすいので注意しましょう。
室内飼いで高温多湿に気をつける
愛玩犬として長い歴史がある狆は、寒暖差によって体調を崩しやすく気温変化に上手に適応できませんので、温度管理ができる室内飼育が基本です。
また、短吻種で体温調節が苦手なことから夏の暑さ対策のみならず湿度管理も大切です。
注意したい病気
軟骨形成不全
狆はその鼻ぺちゃの容姿で愛らしく人気を集めている犬ですが、現在の鼻の形を維持するために鼻の軟骨部分がしっかりと形成されていない犬同士を交配して作られてきました。
そのため軟骨形成不全の犬が非常に多いので注意が必要です。
鼻のつぶれ具合が極端な犬の場合、軟骨形成不全を遺伝子的に持っている可能性があるので、狆を迎えいれたら早めに検査することが大切です。
小型犬に多い関節形成不全
狆はその小ささも魅力の1つであり、他の小型犬同様に小さな犬同士を交配させることによってより小さく改良されてきました。
遺伝子的に骨格形成が整っていない犬同士を繁殖してきたので、膝や肘部分の関節形成不全、また関節形成不全で発症する脱臼や亜脱臼が多い犬種です。
狆を含む小型犬については、年齢に関わらず定期的なレントゲン検査を行うことをおすすめします。
まとめ
今回は可愛らしい容姿と温厚な性格で人気を集めている狆について幅広くご紹介致しましたが、狆はその温厚さや社交性から人との暮らしに適した犬種で飼い主からの愛情を多く必要とします。
品種改良の過程でも軟骨形成不全や関節形成不全などかかりやすい病気があるので、病気に気をつけながら愛情豊かな家庭で育てることが好ましい犬種です。
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