尿路結石(ストルバイト)についてとその画像診断です。
尿路結石に関してはこちらに書いてありますのでご覧ください。
今回は症状がわかるように実際の画像を載せたいと思います。
パグは尿路結石になりやすいので注意しましょう。
先日、一匹のパグが尿路結石(ストルバイト)と診断されましたので、その際の画像も使って説明します。
ストルバイトとは
ストルバイト
ストルバイトとは犬や猫の尿路結石で最も多いものです。
リン酸塩鉱物のひとつで、リン酸マグネシウムアンモニウムで出来た水和物のことです。
生体鉱物として動物はもちろん、人の尿路結石としても高頻度に見出されます。
特に犬には多いとされています。
細菌などの尿路感染症を発症すると、尿素がアンモニウムに代謝されpHがアルカリ性へ傾くため生じやすくなります。
感染症でなくても、食事の成分や体質、環境などによっても生じます。
初期の軽度の状態は結晶で、これをストルバイト尿結晶と呼び、悪化し結晶が集まって固まって石になったものをストルバイト尿結石と呼びます。
初期のストルバイト尿結晶の段階であれば食事療法を中心にして治すことが多いです。
しかし悪化し、ストルバイト尿結石になってしまうと手術が必要になる場合もあります。
ストルバイトの症状
①初期(軽度)
よく見るとおしっこにきらきらしたものが数個~数十個見える程度です。
あとは、おしっこの回数が少し増えるでしょう。
②中期(注意)
これを見落としてしまうと、おっしこに砂糖や塩のような粉(結晶)を小さじ一杯分まいたのかというくらい大量の結晶が混ざります。
気付かない人はいないくらいの量になりますので、この段階で即動物病院に行かなくてはいけません。
初期とは逆で、おしっこの回数が減ります。さらに排尿の量も少なくなります。
③末期(危険)
あっという間に悪化してしまう事も多く、結晶から結石に変わってしまうと症状も変わってきます。
血尿がでたり、おしっこをしなくなります。
これはしなくなったのではなく、結石により出なくなってしまったのです。
この症状が出るくらいまで悪化してしまうと、かなり危険です。
即手術になる可能性もあります。生命に関わる一刻を争う状況です。
ストルバイトの検査
注射器を使用し、膀胱から尿を採取します。
その尿中に結晶があるかどうかを顕微鏡で確認します。
結石の疑いがある場合は、レントゲンやエコーで結石の有無や大きさなどを調べます。
ストルバイトの治療法
軽度・中度(排尿が出来ている状態)の場合は、食事療法がメインになります。
食事療法だけでも1週間程度で改善されるでしょう。
簡単に言うと、尿路に溜まっているストルバイトを排出すれば良いわけです。
ストルバイトは、中性やアルカリ性には溶けませんが、酸性には溶けるのでその特性を利用します。
尿のPHを酸性に近くすれば、溶けて尿と排出されるわけです。
そのため、PHを調整したドッグフードを与えます。獣医師に相談しながら、ドッグフードを選びましょう。
重症(排尿困難)の場合は、手術が必要になります。
手術によって、結石を取り除くことになります。
入院も必要になりますので、出来れば食事療法で済むくらいで治療してあげたいものです。
早期発見のためには
定定期的な健康診断などで、体の状態を知っておきましょう。
飼い主が判断するのは難しいので、獣医師に診てもらうのが一番です。
あとは、おしっこを気にして見るしかありません。
キラキラした結晶が混ざっていないか、回数や量に目立った変化はないかなど。
何か気になることがあれば、すぐ受診しましょう。
以下の画像も是非参考にしてください。
実際の画像
正常
まず最初は、正常な排尿後のトイレシートの画像です。
これが正常なおしっこです。
結晶が分かりやすいように、光をあてていますが全く反射しません。
異常
画像だと少し分かりにくいのですが、実際は裸眼でハッキリと分かるくらいに結晶が発見できます。
よく見ると、白く光っているものがあります。
少し分かり辛いのですが、ライトの光に反射しています。
これで、軽度~中度といったところでしょうか。
犬自身には変化はありません。結晶があるものの、尿と一緒に排出されているので体内に変化はあまりないようです。
ここで、動物病院に行き診てもらいました。
食事療法で良いとのことで、獣医師が推奨したPHコントロールのドッグフードに変更しました。
一週間後
食事療法のみですが、結晶がかなり減りました。
2個ほど、ライトの光に反射して光っているものの、かなり改善しました。
この後、排尿に結晶が混ざっていることも確認できなくなり、獣医師にも良好と判断していただきました。
まとめ
尿路結石は犬種によっても、発生しやすかったりします。
様々な原因で発生しますので、事前に防ぐというのは難しいかもしれません。
しかし、軽度の段階でも必ず体調の変化が見られますので、気付いてあげる事は可能です。
排尿時に注視してあげるだけでも、早期発見に繋がります。
運動不足やストレスでも発生しますから、当たり前ですがしっかりとした飼育環境が必須です。
個体差もあるので、病気になってしまうのは仕方ありませんが、早期発見からの早期治療は努力次第です。
命に関わるような状態にならないうちに治療することが大事なことです。
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