狂犬病とは何?予防接種は義務?狂犬病の全てを学ぼう!
犬を飼っていると必ず耳にする狂犬病。
怖そうな感じはしますが、そもそもどんな病気なのでしょうか?
犬を飼う人は理解しておかないといけない病気です。
実は犬だけの病気だと思っている方が多いですが人間も感染します。
発症した場合の致死率はなんと100%という超危険な病気なのです。
この記事を読んでしっかり学んでおきましょう。
狂犬病とは
狂犬病とは神経系統が冒される病気です。
狂犬病ウイルスを病原体とし、人獣共通の感染症で全ての哺乳類が感染するとされています。
感染している犬などに噛まれる、引っかかれると傷口からウイルスが入りこんで感染します。
日本では海外からの帰国者が発症した例を除けば、既に撲滅しています。
しかし毎年世界で約5万人の死者を出している危険な病気です。
狂犬病の症状
感染して発症までは約2週間ですが、傷口が脳から遠いほど発症が遅くなるとされています。
発症まで2年という記録もあります。
狂犬病の症状には前駆期・狂騒期・麻痺期があり、段階を追って症状が重くなっていきます。
人間の場合、前駆期は風邪のような症状で発熱・食欲不振のほかに情緒不安定なども現れます。
傷口は治っているのに痒みなどの違和感も見られます。
狂騒期は水を極端に怖がる恐水症・恐風症が現れます。
麻痺期には精神錯乱・麻痺などを起こし、昏睡状態になり呼吸障害によって死亡します。
発症前に暴露後ワクチンを接種するという治療法がありますが、発症後は治療法がなく、致死率100%とされています。
恐水症状などがないまま麻痺期に移行する場合もあり、ウイルス性脳炎やギラン・バレー症候群に似ているため診断が難しくなります。
他に豚ヘルペスウイルスによって引き起こされる偽性狂犬病もあります。
狂犬病の歴史
紀元前2000年には既に狂犬病についての記録があります。
古代メソポタミアの時代には、犬が狂犬になったら飼い主は銀貨で罰金を払うこと、人を死亡させたら銀貨で遺族に賠償金を払うといった法律が定められています。
古代バビロニアでも同じような法律があり、被害者や飼い主の身分によって罰金や刑罰が決められています。
紀元前4世紀のギリシャでは、アリストテレスが狂犬病は動物に噛まれることによって起きる病気であると記録を残しています。
その後ローマの医学者ケルススがこの病気について調べ、発症した人は痙攣が起きて水を飲めなくなるだけではなく、極度に恐れるということから「恐水症」と名付けました。
また噛まれた部分を焼くという治療法も提唱しました。
同時期のギリシャでは噛まれた部分を切除するという治療が有効とされていました。
時代が進んで19世紀にドイツの細菌学者コッホが狂犬病とは病原微生物によって起きることを発見し、同時代のフランスのパスツールがワクチンの開発に成功しました。
日本では奈良時代の「養老律令」で狂犬を殺すことを許すという法律があり、この頃に狂犬病はあったと考えられています。
江戸時代には「生類憐みの令」で飼い犬の登録、病気になったら治療を受けさせる、死亡したら寺に埋葬するなどが義務付けられました。
ところが現代人の感覚とは違い、犬を飼うと大変なことが増えるという理由で捨て犬が急増してしまいました。
結果狂犬病が流行して馬・キツネ・タヌキも多数死亡してしまいます。
当時の治療法は傷口から血を吸いだし、灸をすえるというものでした。
狂犬病に関する法律
日本では1950年(昭和25年)に「狂犬病予防法」が制定されました。
当時の日本は敗戦後の混乱期で狂犬病が流行していました。
その後は減少し、1956年(昭和31年)の神奈川県での発生を最後に日本から姿を消しています。
現在の日本では「飼い犬の登録」と「狂犬病予防注射の実施」が義務付けられています。
生後90日を経過した犬を取得したら30日以内に市町村に登録しなければなりません。
市町村は飼い主に鑑札を交付します。
犬が死亡した際にも届け出ます。
飼い主が途中で変わった場合も、新しい飼い主が届け出をして鑑札を交付しなければいけません。
犬に対する狂犬病の予防注射は年1回義務付けられていて、毎年4月1日から6月30日の間に受けることとされています。
ほかに海外からの狂犬病ウイルスの侵入を防ぐため、犬・猫・アライグマ・キツネ・スカンクの輸出入の際には検疫を受けることが義務付けられています。
海外へ旅行や転勤などでペットを連れていく際にも検疫を受ける必要があります。
まとめ
人類が地球から消すことに成功した感染症は天然痘だけと言われています。
ペスト・結核・インフルエンザなどの感染症は古代から存在し、現代でもなくなったわけではありません。
室内飼いの犬が増え、野犬が減って清潔になりましたが、狂犬病ウイルスが日本に侵入してくる可能性がないとは言えません。
国内だけでは撲滅に成功しても、近年は人や動物が簡単に諸外国を行き来できるようになっています。
愛犬も人も楽しく暮らしていくためには、感染症予防は必須です。
犬を飼う人は、関係する病気や法律について学び、飼い主としての責任を果たしましょう。
コメントを残す