愛犬の正しい体調管理!毎日チェックするポイントは?部位ごとの主な病気も紹介
愛犬の健康チェックは私たちの大事な役目です。
犬は体調が悪くても、しゃべることが出来ませんから気付いてあげないといけません。
どこをどのようのチェックしなくてはいけないか知らない人が多いと思います。
毎日行うチェックポイントをまとめましたので、覚えておきましょう。
愛犬の健康チェックは欠かせませんよ!
チェックポイント1:目
- 目が適度に潤っていて輝気があるか
- 充血していないか
- 目やにが過度についていないか
- 眼球の動きに違和感がないか
解説
人間もそうですが、犬の目も潤っているのが正解です。
潤っているを通り越して涙が出ているような状態は正常ではありませんから注意しましょう。
充血している場合も同様に異常である可能性があります。
目やには、多少であれば付着していても気にする必要がありません。
しかし、粘り気のある目やにや異臭のする目やには危険です。色が黄緑色の場合も要注意です。
そして一番危険なのは、私たちの目視チェックでは異常がないのに明らかに様子がおかしい時です。
例えば、
- 呼んでも違う方を見る
- 物にぶつかる
- フラフラしている
- 視点が定まらない
このような症状は神経の異常が影響を及ぼしている可能性があります。
何か少しでも違和感がある場合は受診しましょう。
目の主な病気
乾性角結膜炎
何らかの原因で涙の分泌量が減り、目が乾燥し角膜と結膜に炎症が起きる病気。
いわゆるドライアイで、原因はウイルス、細菌、傷や刺激など様々です。
<症状>目の充血。目に潤いがない。黄緑色の粘り気のある目やにが付着している。
<治療>点眼薬
角膜炎
角膜は眼球の前面を覆っている膜で外部からの刺激を受けやすい部分です。
角膜炎とはその角膜がウイルス、細菌、傷や刺激などを原因に炎症を起こしてしまう病気。
<症状>
目の充血。涙や目やにが多い。頻繁に足で目を擦ろうとする。
<治療>
抗炎症剤、抗生物質などの点眼。
緑内障
眼球内部の圧力(眼圧)が高くなり、視神経が圧迫され視力に障害が起きる病気。
遺伝でも起きる病気だが、他の目の病気から続発的に起きると言われています。
失明の危険もある怖い病気。
<症状>
眼球の肥大。目の充血。涙の過剰分泌。
<治療>
点眼薬や内服薬による内科的治療。レーザー治療などの外科的治療。
チェックポイント2:鼻
- 適度に湿っているか
- 鼻水や鼻血が出ていないか
解説
犬の鼻は湿っているのが正常です。
よく舌で鼻を舐めるのは自分で湿らせているのです。
垂れるほどの鼻水が出ているのは異常ですから注意しましょう。
鼻血が鼻の穴から出ている場合も注意が必要です。
鼻の表面から血が出ていることがあります。
これは、散歩時に枝などで傷つけてしまったり自分の足で引っ掻いてしまったことが原因です。
たいして出血していなくても細菌などにより感染症にかかることを防ぐためにも受診しましょう。
鼻の中から悪臭がする場合は内部が化膿している可能性がありますので要注意です。
鼻の主な病気
鼻炎
鼻の粘膜に炎症が起こる病気で、原因は細菌やウイルス、カビ、ほこりなど様々です。
アレルギーでも刺激され炎症を起こすことがあります。
鼻炎が慢性化してしまうと副鼻腔炎にまでなってしまうことがあるので注意。
<症状>
くしゃみが止まらない。黄緑色の鼻水が出る。呼吸しづらそう。
<治療>
抗生物質や消炎剤の投与。アレルギーが原因なら抗アレルギー剤を投与。
チェックポイント3:口
- よだれが過剰に出ていないか
- 血が出ていないか
- 悪臭がしないか
- 歯肉や舌の色が濃いピンク色をしているか
解説
口腔内の病気で多いのは悪性腫瘍です。
メスよりもオスの方が発症率が2.5倍高いとも言われ、良性である場合もありますが、どちらにしても素人には見てもわからないことがほとんどです。
悪性腫瘍の中でもメラノーマ(悪性黒色腫)、扁平上皮癌、線維肉腫が特に多いとされます。
良性はエプリスが多く、命には関係ありません。
違和感を感じて口を覗いても私たちには判断できませんから、すぐに受診しましょう。
よだれは多少の個体差があるため判断材料にはならないこともありますが、悪臭や出血は明らかな異常となります。
悪性腫瘍は命に関わる病気ですから、早期発見・早期治療が肝心です。
口の主な病気
メラノーマ(悪性黒色腫)
名前の通り多くは黒入りのしこり・塊ですが、3分の1は黒くない乏色素性のメラノーマになります。
悪性度は高く、転移が早い疾患の1つです。
症状が出てしまっている時には、他の臓器やリンパ節、骨などにも転移してしまっていることがあります。
衛生環境によっても発症率が変わると言われることもあり、飼育環境には気をつけたいところです。
<症状>
食欲不振。よだれの過剰分泌。口腔内からの出血。悪臭。
<治療>
切除可能であれば手術による摘出。補助的に抗癌剤や放射線治療。
扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)
上皮細胞の一種である扁平上皮細胞が癌化した病気です。
口腔以外にも腹部やそけい部などの色素の薄い皮膚や爪などにも発症します。
口腔内では歯肉に多く発生をし、骨を侵し広がっていきます。
外見は、赤く硬い塊のようなものから潰瘍(かいよう)やびらん(ただれ)を伴うもの、カリフラワーのようなものまで様々あります。
一般的には、メラノーマとは違い転移は遅いと言われています。
ただし、早期発見・早期治療が基本である事は間違いありません。
<症状>
食欲不振。口腔内からの出血。悪臭。膿のようなものが付着する。
<治療>
切除可能であれば手術による摘出。補助的に抗癌剤や放射線治療。
チェックポイント4:耳
- 悪臭がしないか
- 耳の内側が綺麗な肌色をしているか
解説
垂れ耳や耳周りの被毛が長い犬種は要注意な部分です。
通気性が悪いと細菌等が急激に増殖するため、あっという間に悪化してしまいます。
犬の体の中でも耳は非常にデリケートな部分です。
疾患はなくても、定期的に耳垢を取らないといけません。
綿棒等で奥深いところまで掃除しなくてはいけない為、獣医師など専門家に任せましょう。
頻繁に耳を掻く仕草をするようであれば、受診しましょう。
耳の主な病気
外耳炎
耳の穴の入り口から鼓膜までの外耳道に炎症が起こる病気。
溜まった耳垢が皮膚を刺激したり、細菌などの増殖が原因です。
アレルギーによって発症してしまうこともあります。
<症状>
耳の内側や穴の中が赤くなる。頻繁に足で耳を掻く。耳を触ると嫌がる。
<治療>
耳垢の除去。細菌感染の場合は抗生物質の投与。アレルギーの場合は抗アレルギー剤。
内耳炎
耳の奥にある内耳に炎症が起こる病気。
原因は細菌感染がほとんどですが、外耳炎を繰り返していると内耳まで炎症が広がってしまうことがあります。
まれに内耳にできた腫瘍が原因で発症する場合もあります。
<症状>
フラフラしている。呼んでも反応が悪い。
<治療>
外耳炎など他の病気が原因である場合は元の病気の治療。病状によって抗生物質や抗炎症剤の投与。
マラセチア感染症
マラセチアは犬の皮膚に常在する真菌(カビ)の一種です。
健常時は常在していても問題ありませんが、免疫力が低下した時やストレスが溜まっている時などに異常繁殖をし皮膚に異常を起こす病気です。
マラセチアが異常繁殖すると独特な匂いのする耳垢が溜まります。
マラセチアは湿度が高いところを好む為、シャンプー後はしっかりとドライヤーで乾かすことが重要です。
<症状>
黒っぽく脂っぽい耳垢が取れる。体を痒がる。体が脂っぽくベタつく。
<治療>
抗真菌剤の投与。薬用シャンプーの使用。
チェックポイント5:呼吸
- 一定のペースで呼吸をしているか
- 咳を頻繁にしていないか
- 変な呼吸音がしないか
- 苦しそうではないか
解説
運動後や興奮した時は呼吸は速くなりますが、それ以外の時に浅く速い呼吸をしている時は注意が必要です。
通常、犬の呼吸は1分間に15〜30回程度となります。
違和感を感じた時は1分間に何回呼吸しているか数えてみましょう。
呼吸が荒いだけではなく、嘔吐や痙攣をしている際は危険です。
さらに悪化すると失神してしまいます。この状態まで来るとかなり危険です。
直ちに動物病院に連れていきましょう。
また、唇が白や紫色になっている時はチアノーゼ(血液中の酸素濃度が一気に低下している状態)を起こしています。
こちらも一刻を争う状況ですので急いで受診して下さい。
主な呼吸の病気
咽頭炎
いわゆる喉の炎症です。
人間同様に唾を飲み込んだり、ご飯を食べて飲み込む度に痛みを感じるようになります。
違和感があるので咳をして、その咳のせいでさらに炎症が悪化してしまうという悪循環が起きます。
<症状>
食欲不振。よだれの異常分泌。泣き声が変わる。泣き声が出ない。
<治療>
抗炎症剤や抗生物質
気管支炎
肺に空気を運ぶ気管支の粘膜に炎症が起きる病気。
鼻炎や咽頭炎が気管支まで広がってしまう場合や細菌やウイルスによるものなど原因は様々です。
最初は乾いた咳を断続的にしますが、悪化すると湿った咳を繰り返しします。
<症状>
食欲不振。咳を頻繁にする。散歩などを嫌がる。
<治療>
咳止めや気管支拡張剤、抗炎症剤の投与。必要に応じて抗生物質。
肺炎
その名の通り、肺に炎症が起きる病気。
胸に耳を当てると「ヒューヒュー」と音がするのが特徴です。
咽頭炎や気管支炎と併発することも多く、悪化すると呼吸困難に陥る危険があります。
<症状>
ゼイゼイと苦しそうな呼吸。胸からヒューヒュー音がする。発熱。
<治療>
ウイルス性の場合は抗生物質。咳止めや抗炎症剤の投与。酸素吸入機による処置。
チェックポイント6:体(皮膚)
- 体から悪臭がしていないか
- 皮膚の色に異常はないか
- ブツブツはないか
- しこりがないか
- フケが出てないか
- 一部分だけ抜け毛がないか
- ダニやノミはいないか
解説
犬種によって違いはあるものの犬の皮膚は通常、白っぽいピンクや肌色をしています。
赤くなっていたり、湿疹があったりする場合は疾患がある場合があります。
犬の場合、被毛に隠れて皮膚は見えづらいので毛をよけながら注意深くチェックしましょう。
ブツブツなどの出来物は触っていればわかることが多いので、撫でてあげるときに少し意識してみて下さい。
散歩後にダニやノミが付着しているなんていうこともあります。
ブッラシングで取れれば除去し、吸血されているような場合は動物病院に連れていきましょう。
犬は皮膚疾患が多い生き物なので日々の注意が必要です。
体・皮膚の主な病気
ヒゼンダニ
ヒゼンダニに接触・感染し、皮膚に寄生されたことで激しい痒みを起こす病気。
胸やお腹、脇の下や耳など皮膚が柔らかいところに症状が出ます。
<症状>
赤い湿疹。フケが出る。カサブタができる。
<治療>
イベルメクチンなどでダニの駆除。痒み止めや抗生物質の投与。
膿皮症
犬の皮膚には常在する細菌がいます。
健康時は問題ないのですが、皮膚が何らかの影響で傷ついたり荒れてしまうと細菌が毛穴の中に入ってしまうことがあります。
その入り込んだ細菌が増殖し炎症を起こす病気です。
子犬や老犬など、免疫力が低いと発症しやすくなります。
<症状>
赤い皮膚の炎症。脱毛。ニキビのようなものができる。
<治療>
薬用シャンプーの使用。抗生物質の投与。
皮膚の感染症
皮膚にカビや細菌が感染してしまう病気。
皮膚疾患の大半はこの病気です。
健康時は免疫が働いて排除できますが、他の病気による体力の消耗やストレスの蓄積などで免疫力が下がってしまうと感染症になりやすくなります。
栄養の偏りなどでも起こる為、ドッグフードの見直しも必要です。
<症状>
かなり痒がる。至る所に脱毛が見られる。
<治療>
抗生物質の投与。痒み止めの投与。栄養剤などによる体力の回復。
チェックポイント7:食欲
- いつも通りに食べているか
- 食べたものを吐いていないか
- 痩せてきていないか
解説
食欲は健康の大事なチェックポイントです。
軽い体調不良やストレスで食べないのはよくありますが、丸1日何も食べなかったら病気を疑いましょう。
ドッグフードを変えてすぐは食べないのが普通です。
おやつをあげて喜んで食べる時は心配は入りません。
しかしあまり元気がない感じがする時はすぐに受診して下さい。
病気の種類によっては下痢や嘔吐をする場合があります。
ダイエットをしていないのに痩せてきた場合は重篤な病気が隠れている可能性があります。
食欲に関わる主な病気
腸閉塞
何らかの原因で腸が詰まってしまう病気。
腸の中に大きな腫瘍ができてしまったり、腸管内に寄生虫が寄生してしまったりすることが原因です。
そして意外と多いのがボールなどのおもちゃや石などを誤飲してしまったことが原因の場合です。
長期間、腸が詰まっていると壊死してしまう可能性もありかなり危険です。
<症状>
嘔吐を繰り返す。下痢や便秘。
<治療>
外科手術による原因の除去。
腎不全
老廃物を排出する役目の腎臓の機能が低下してしまう病気。
急性と慢性があり、急性は腎臓病や尿路結石、腫瘍などが原因で、慢性は腎炎や急性腎不全からの進行により徐々に腎機能が低下してしまう事による発症です。
命を落としかねない危険な病気で早期治療が明暗を分けます。
<症状>
下痢や嘔吐を繰り返す。排尿の量が減る(急性)。排尿の量が増える(慢性)。
<治療>
点滴など内科的治療。薬物療法や食事療法。
肝不全
数百以上の役目を果たしているとも言われる腎臓の機能が低下してしまう病気。
「沈黙の臓器」と言われるだけあって、急性腎炎以外は症状が出にくい病気です。
症状が出たときにはかなり悪化している可能性があるので怖い病気の1つです。
先天性の疾患であったり、細菌、ウイルス、アレルギーなど原因は様々です。
定期的な健康診断で血液検査などをすることで早期発見の可能性があります。
<症状>
元気がない。黄疸(皮膚や白目が黄ばむ症状)が見られる。下痢や嘔吐。
<治療>
抗生物質の投与。食事療法。
胃炎・腸炎
胃や腸に炎症が起きてしまった病気です。
いまだはっきりしないことも多い病気で、原因も様々あります。
細菌感染、アレルギー、先天性遺伝、免疫系の異常などが考えられています。
食欲不振の原因の多くはこの病気になります。
早期治療で回復は見込める疾患ですので、早期発見できるよう日々注意しましょう。
<症状>
下痢や嘔吐。脱水症状。元気がない。
<治療>
食事療法。抗生物質、消炎剤、免疫抑制剤などの投与。
まとめ
いかがでしたか?
毎日のチェック項目と一緒に、主な病気の症状や治療法もまとめました。
全ての病気に早期発見・早期治療は当てはまります。
日々コミニュケーションをとり、触れ合うことで多くの病気は発見できます。
それに加えて、定期的な健康診断を行うことで未然に防げる病気もあります。
そして何か違和感を感じたら、後回しにせず動物病院に連れていきましょう。
高額な治療費でも払えるようにペット保険に加入しておくことも大事なことです。
健康に長生きしてもらえるように飼い主としてやるべきことを考えましょう。
コメントを残す