ブリーダーになりたい!犬のブリーダーになるには?必要な許認可などすべて教えます!
『ブリーダー』はペットを飼っていれば一度は聞く名前だと思います。
ブリーダーとは犬や猫などのペットを繁殖させて販売や絶滅しないように普及させる人たちのことです。
愛犬家の方であれば、ブリーダーになってみたいと思ったことは少なくないでしょう。
しかし、犬のブリーダーにはどうやったらなれるのでしょうか。
しっかりとした知識がないと健全な繁殖ができませんし、場合によってはご近所トラブルにもなりかねません。
ここではブリーダーになるために必要な許認可、資格などについても書いていきます。
是非これを読んで正しい知識を身につけ、ブリーダーになってみてはいかがですか?
犬のブリーダーになるまでの流れ
ブリーダーになるにはすでに活躍している人の下で経験を積み、それから独立していくというのが基本です。
ブリーディングをしている企業に勤める場合もありますが、個人で働く人が多いです。
後述しますが、ブリーダーとして開業する際には実務経験も必要になります。
実務経験があるスタッフがいれば開業はできるのですが、自分自身に実務経験はあったほうが良いと思います。
一般的には、ペットショップなどでペットの取り扱いに関する経験を1~2年積み、その後ブリーダーさんのところで1~2年働いて経験を積むことが王道でしょう。
しかしブリーダーは個人・家族で運営しているところも多く、スタッフを募集しているところは少ないです。
そういった場合は、動物病院やペットショップで十分な経験を積む必要があります。
繁殖、妊娠から出産、子育てまで全ての知識と経験がブリーダーには必要になります。
産後の親犬のケアや生まれたての子犬のケアなど専門的な知識はなかなか学べる場所もないのが現実です。
つまり、ブリーダーとはすぐになれるものではなく、時間をかけ計画的に目指すものだと言えるでしょう。
ブリーダーになるにあたって、必ずしも取得しなければならない資格はありません。
年齢も学歴も問われませんが、実際には全く知識や経験がなくていいというわけではないので勉強は必要です。
専門学校や通信教育で知識を身に付ける人も多くなってきています。
現場でしか身につけられない実践的な知識、ブリーダーとして必要な人脈や金銭感覚を十分に学んでから開業しましょう。
里親になるためにはこちらでお話ししています。
ブリーダーに必要な許認可
ブリーダーとして開業するには、動物取扱責任者の登録と動物取扱業の届け出を自治体に出す必要があります。
動物取扱業とは、ブリーダーやペットショップなど動物を扱うビジネスのことです。
ビジネスを行う際には動物取扱責任者の資格を持つ人を最低1人はおかなくてはなりません。
動物取扱責任者になるには3つのうち1つの要件を満たす必要があります。
- 動物取扱業の登録をしているペットショップ等で半年以上の実務経験を積むこと
- 愛玩動物飼養管理士や家庭動物販売士、動物看護士等約30種類ある資格のどれかを取得すること
- 第一種動物取扱業に関する技術や知識について1年以上教育している学校法人やその他の教育機関を卒業していること
自治体によって違いがありますが、基本はこの3点です。
獣医師であること、2023年度からは愛玩動物看護師であることも要件に含まれます。
獣医師に関して詳しくはこちら。
資格を取ったあとも、定期的に研修を受け更新しなければなりません。
ブリーダーに関する資格
資格は必須ではありませんが、持っていたら仕事では有利です。
購入者にも安心していただけるように、資格は揃えておくと良いブリーダーと判断してもらえます。
JCSA認定ドッグブリーダー
5ヵ月の通信教育課程を修了後、在宅試験を受けることで与えられる資格です。
JCSA(日本キャリア教育技能検定協会)とはペットに関するコーディネートをしている団体です。
JKC愛犬飼育管理士
1日講習を受けその日に筆記試験を受ける資格です。
これは多くの自治体で動物取扱責任者の資格要件の1つとしています。
JKCとは一般社団法人ジャパンケンネルクラブのことで、純粋犬種の保護や優良犬の普及のために活動している団体です。
ペット繁殖インストラクター
通信教育課程を終了後、在宅試験を受けることで与えられる資格です。
日本インストラクター協会が認定しています。
愛玩動物飼養管理士
約6ヵ月の通信教育を修了後、筆記試験を受けて与えられる資格です。
2級と1級があり、どちらも全国の会場で行われています。
こちらも多くの自治体で動物取扱責任者として認められる要件の1つです。
動物看護師
専門学校や大学で教育課程を修了した人に与えられる資格です。
2019年に法律が改正され、動物看護師は国家資格になる見通しです。
ブリーダーの仕事の注意点は?
労働時間・労働力
ブリーダーは犬を交配や出産させ、流通させるのが仕事です。
知識がない状態で交配させてしまうと、体の弱い犬や遺伝性疾患がある犬を生み出してしまいます。
生活の大半が犬の世話になってしまうため、自分の時間は制限されます。
当然、家族旅行などにも行けませんし、出産が近づいてくると短時間の外出すら出来なくなります。
多頭飼いが基本で休みがないので大変な肉体労働でもあるのです。
朝から犬の散歩・掃除・ごはんの世話をし、卸先の開拓、宣伝や問い合わせ対応、エサなどの買い物に追われます。
はっきり言って一人での運営は不可能でしょう。最低でも2〜3人は必要になります。
出費・必要経費
医療費や環境整備で普段から出費がかかります。
もちろん繁殖規模によるので一概には言えませんが、ブリーダーとして生活を成り立たせるにはそれなりの頭数を飼育する必要があります。
自宅内のみで行える程度の規模であればそこまで掛かりませんが、大型犬のブリーダーなど、犬舎を別で作る場合は注意が必要です。
気温の変化などで体調を崩さないように冷暖房は完備でなくてはいけません。
夏の冷房代、冬の暖房代は一日中掛かりますのですごい金額になります。
また、えさ代や備品も頭数や犬種によっては多額になる可能性があります。
安く済ませるために、えさの量を減らしたりえさ自体の質を落とすと犬たちの体調にも影響が出ます。
トイレシート代などの消耗品も大量に必要となりますから考えておかないといけません。
体調を崩せば動物病院に連れていかなくてはいけません。
診療費・治療費は安くありませんが、自分の判断で自宅療養にすることは危険です。
ケア・お世話
犬が妊娠すると神経質になった母犬のケアもしなくてはいけません。
ブリーダーは助産師の役割も務め、出産が夜中になったり難産になったりすることも多いです。
子犬が産まれると世話をしなくてはいけません。
大型犬の場合は一度に10匹近く産まれます。
どの犬も健康に育つように栄養状態や病気をしていないかなど、慎重なケアが必要です。
出産後の母犬も回復するようにフォローが必要になります。
子犬を販売してやっと収入になります。
しかしすぐにできるわけではなく、社会性を身につけるため生後50日を過ぎてからでないと販売できません。
ブリーダーにはパートナーとなる犬の入手・販売ルートの確保が必要で、ここで下積み時代の人脈も関わってきます。
卸先のペットショップは環境が良いか、個人に売る場合はきちんと犬を育てられる人かどうか、判断する必要があります。
ブリーダーになるために考えなくてはいけないこと
お金
先述の通り、まずお金は掛かります。
えさ代、備品代、医療費、電気代など必要なお金はたくさんあります。
特に医療費は突然必要になるものですから、ある程度の貯金は用意しておきましょう。
手術が必要な病気などであれば、数万円〜数十万円かかることもありますし、頭数が多くなれば発症する可能性も上がります。
環境
多頭飼いは近隣の方のことも考えなくてはいけません。
鳴き声などによる騒音、抜け毛・排出物による悪臭などトラブルになりかねません。
住宅街などでブリーダーになることはやめた方がいいです。
田舎の広い土地で、周り近所が少ないような所を選びましょう。
広めのドッグランが作れるくらいの土地を探しましょう。
地域にあった犬種を選ぶことも大切です。
時間
自分たちの時間などなく、全てを犬たちに費やす必要があります。
当然、中途半端な気持ちでは出来ません。
無人にするわけにはいきませんから、複数人での運営を考えましょう。
愛情
最近では飼育崩壊などが取り立たされニュースなどで見たりしますが、ブリーダーは基本的に多頭飼いになります。
飼育崩壊しやすい環境になるということです。
通常、1匹や2匹飼うくらいでは飼育崩壊はしないのです。
多頭飼育とは本当に大変で、愛情がなくては出来ません。
繁殖を引退した親犬に対する虐待や流産してしまった親犬に対する虐待など、悲惨な現場もあります。
最初は愛情を持ってブリーダーを始めるのですが、時間と共にお金のことが主体になってきてしまうことが多いです。
子犬だけでなく、全ての犬が健康で幸せである必要があります。
覚悟がないとブリーダーは務まりませんので、よく考えて始めましょう。
まとめ
ブリーダーとは命を扱う仕事です。
収入を得るまで手間も時間もかかります。
世界的なトップブリーダーでなければ、一般企業で働くよりも収入は低いと言われています。
命の誕生だけでなく、死に直面することもあります。
それでも動物に対する責任感と愛情がある人にとってはとてもやりがいのある仕事です。
あまり多頭飼いをせず、小さい規模で少ない数の犬のブリーダーとなるのが理想と言えるでしょう。
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